整体術

整体術分類考

当院では機械・器具を使わず、全て手技で行います。
それで、どんな手技なの? ということになりますが、いくつかの複合技術になっていますから、説明がややこしくなってしまいます。

手技の種類は数々ありますし、整体流派もたくさんあります。1つの技法のいくつかの側面がそれぞれに発展して、たくさんの技法になってしまうこともあります。変遷を経て、まったく姿を変えてしまう技法もあります。中身は同じでも呼び方が違う場合もあります。

また、整体術を施すことについても、セラピストによって違いがあり、単純に「施術」と言う人もいたり、「整体指導」のように「~指導」とか、「ボディワーク」のように「~ワーク」と言ったりする人もいます。それは、勘違いしている人が多いのですが、「整体施術」というのは「治療」ではないからです。あくまでも、ほんの少し身体に働きかけ、元の自然な状態を思い出してもらうというのが本当のところです。
たとえるなら、散らかった部屋を一旦片付けるのと同じです。部屋の散らかり具合に相当するのが、よく言われる「ゆがみ」ということになります。
筆者の場合は、「身体との対話」と呼びたいところですが、単純に施術と言ってしまうことが多いです。

それはともかく、どのような技法であっても共通点はあります。それは、いずれも身体へなんらかの刺激を与えることで、変化をもたらそうしていることです。
そこで、筆者の独断と偏見ですが、身体へのアプローチの仕方で5つに分類してみました。
それぞれに当院の使用頻度を付記しています。

骨格矯正

整体というと、これを思い浮かべる人が多いでしょう。ポキッという矯正音が鳴るやつですね。欧米から入ってきたカイロプラクティックなどと相まって、イメージが定着してしまった気がします。映像にするとインパクト大というのも大きいかもしれません。ところが、元々この系統は多くありません。
技法的には、骨格の位置関係や動きの鈍さなどに着目し、テコの原理で瞬間的な力を加え、整えていきます(そうじゃない方法もあります)。
メリット…即効性◎ 施術時間が短い◎
デメリット…他のどの療法よりも熟練を要すること。施術者はもちろん、受け手の側もリラックスしていることが肝要です。受け手に恐怖心があったりすると、ワザがかからないばかりか、事故につながる可能性もあります。
ということで、最近はこの技法を打ち出しているところは、より少なくなっている気がします。
当院での使用頻度は、ほぼ0です。

軟部組織(主として筋肉)をほぐす

現在、世間ではこれが1番隆盛を誇っています。
マッサージ的な技法が多いですので、気持ちよさを求めたり、リラックスするために通ったりする人が多いと思います。固くなった組織をほぐせば、骨の位置もほどよく整いますし、動きや身体が軽くなるなど、効果を実感しやすいです。
ただ、強い力でやり慣れてしまうと、感覚が鈍くなる傾向がみられ、より強い刺激を求めてしまうこともあります。
メリット…安全性◎ 気持ちよさ◎ やってもらった感◎
デメリットは、いわゆる、もみ返しが出る場合があること。元に戻りやすいこと。
当院の使用頻度…△ 必要に応じてです。

関節包内運動

分類上、これを入れるのはどうかなと思うところですが…。
有名なのはAKAという技法です。関節モビリゼーションか関節モビライぜーション、略して、関モビなんて言う人もいます。
関節の動きは、関節包という関節を包んでいる袋の中で、骨と骨が滑ることで起きています。痛みなどの症状がある場合、この滑りが悪くなっていることが多いです。そこで、この滑りを回復させるために、ちょっとした動きを与えます。電気スイッチの動作が悪いときに、何度かON-OFFしてみるみたいなイメージです。コチョコチョとした小さな動きでやるやり方もあれば、格闘技の関節技みたいなことをするやり方もあります。
メリット…安全性◎ 即効性◎
また、他の技法との組み合わせが容易です。
悪いところを調べる過程がそのまま施術過程にもなるというのもメリットだとは思うのですが、これがかえってあだとなり、やってもらった感がなさ過ぎます。
デメリット…やってもらった感×
当院の使用頻度…◎

運動療法

自分でやるストレッチ、筋トレ、怪我からの回復期のリハビリテーションもこれに入ります。いわゆる運動といった意味では、万人が取り組むべき療法です。自宅でこれこれやってくださいね、みたいな指導をすることもあります。
整体としての運動療法は、
なるべく力を抜いてもらった状態で、ストレッチをかける。
それとは逆に、筋肉に力を入れてもらったり、抜いてもらったり、筋力を使ってもらう。施術者がかける力に対して、その力を押し返すよう受け手に力を発揮してもらうなどです。
有名な療法には、操体法、PNFなどがあります。
メリット…関係する筋肉全部に働きかけることができる。
デメリット…やらされてる感が強くなるので、十分な動機付けが必要です。
当院での使用頻度…◯

エネルギーワーク

手技の全ては、ここから出、ここに帰着します。
人が人をいたわる、その初めは、痛んだ箇所に手を当てた。手当そのものに違いないのです。そこにエネルギーのやり取りがないという人はいないと思います。温もりが伝わっているんですから。どのようなやり方であろうと、普通にもみほぐしているだけでも、人と人が触れあうところには、何らかのエネルギーのやり取りは生じてしまうものなのです。そして、もちろんここに着目している技法は多くあります。
有名なのは、気功法です。
整体の本家とも言える野口整体には、愉気という手当療法があります。
また、スピリチュアル系のヒーラーがよく使います。
宗教系は、よくわからない分野ですが、祈りを使う等、これに該当するんじゃないかと思います。
これはもう玉石混淆です。ご自身でよく品定めをしていただくよりありません。疑問点はちゃんと質問しましょう。特にセラピストの言動には注意を払い、鵜呑みにしすぎないようにすべきです。
それに、症状には、進行性あるいは生命に関わる病気を示すものもありますから、病院へ行くことをためらってはいけません。それをやめなさいなどと言うセラピストはあやしいと思ってください。
当院での使用頻度…◎ 気功あるいは愉気に近いです。そして、実は1番使います。たいてい着手(身体にふれます)します。筋肉は自然に緩み、骨格はナチュラルに整います。内臓への働きかけも可能です。デメリットと思われる反応もありません。ただ、あやしい…。

まとめ

一応、5分類してみましたが、明確な境界があるわけではありません。また、どのやり方も単独で施術されることは少なく、いくつかを組み合わせるところがほとんどです。そして、やり方に名前を付けて宣伝したりしますが、この5分類から大きくはずれることはないと思います。
専門に施術する側にすれば、異論は多々あるはずです。筋膜リリースはほぐしに入ってもらうとしても、クレニオはどこかなど。あるいは、関節包内運動はそういう説明じゃ説明になってないなどとお叱りを受けそうです。
しかし、一般の方はそこまで気にする必要のないことだろうと思います。だいたいこんな感じね、というイメージで十分です。それよりもセラピストをよくみてください。施術を受けるということは、少なからずその人の影響を受けることなのですから。
以上、整体院選びの参考にもなると思います。

対話(カウンセリング)についてへ

当院の方針へ戻る